甲状腺に関して

バセドウ病と妊娠
2015年3月21日

バセドウ病は妊娠可能な年齢の女性に多く発生し、妊娠により大きな影響を受けます。したがって妊娠中から出産後にわたって、病気のコントロールをちゃんとしていく必要があります。まず妊娠前には、少なくとも少量の抗甲状腺剤できっちりと甲状腺機能が正常化できていることが必要です。なお抗甲状腺剤のうちチアマゾール(メルカゾール®MMI)は、臍腸管関連奇形と臍帯ヘルニアなどとの関連性があるといわれています。そのため少なくとも器官形成期である妊娠初期は、可能な限りMMIを避けるべきと考えられています。なお妊娠初期はバセドウ病が増悪する症例が時にあるため、注意深くコントロールしていくことが必要です。その後妊娠中期以降は、甲状腺機能が安定化していくことが一般的には多いのですが、少なくとも2ケ月に1回程度の甲状腺機能検査を行い、抗甲状腺剤の投与量を調節していく必要があります。甲状腺刺激物質であるTSH受容体抗体(TRAb)は、バセドウ病における甲状腺機能亢進症の原因と考えられていますが、この物質は妊娠中に胎盤を通過して胎児に移行します。この抗体の活性が高いと、胎児の甲状腺も刺激され、胎児が甲状腺機能亢進症の状態となることがあります。妊娠中に多量のTRAbが胎児に移行した場合、同時に胎盤を移行した抗甲状腺剤の作用が切れると、TRAbの刺激作用が優位となり、出生後45日経ったころに、一時的な新生児甲状腺機能亢進症を発症する場合があります。この発症については、妊娠末期のTRAbの抗体価によりある程度発症が予測できます。出産後数ケ月間は、母体の甲状腺機能は安定していますが、その後バセドウ病が発症または悪化する場合があります。この時は抗甲状腺剤の内服開始または増量が必要になる場合があります。抗甲状腺剤のPTU(チウラジール®)であれば、一日300mgまでは授乳ができます。またMMI(メルカゾール®)でも使用量が一日10mg以下であれば内服しながら授乳ができます。




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